ひと昔映画日記

素人の映画雑食日記 それこそ我が映画道

ソナチネ(1993)

監督:北野武
出演者:ビートたけし、 国舞亜矢、 渡辺哲、 勝村政信寺島進大杉漣
収録時間:93分
レンタル開始日:2007-07-04

Story
北野武の『あの夏、いちばん静かな海』に続く四本目の監督作品。沖縄を舞台に、二つの組の間で繰り広げられている抗争の助っ人として送られたヤクザ幹部の男の結末を描く。組長からの命令により、沖縄にある中松組の抗争の助っ人として舎弟たちと共に沖縄へと出向いた村川。しかし、抗争は収まるどころかますます悪化。事務所を爆破された村川たちは、海岸沿いの空き家へと身を隠すことになる。 (詳細はこちら
公開されて早16年何故か機会が無く一度も観たことが無かった北野武映画を初視聴!
観るの遅すぎたな。。。ってのが第一印象。


評価の高い映画のようだけど、自分の主観だけで言うとそこまでではなかったのは
今になって初視聴であることも影響してるんだと思う。

時代が変わって色んなジャンルやスタイルの映画が増えたり、ネット環境が整ったことで発信しやすくなったりと、色んな事情が相まって受け手の選択肢は格段に増えたと思う。

20年くらい前の日本の映画事情ということ加味すると、彼の撮る映画というのは今よりもっと鮮明に唯一無二の存在感を放っていたんだろうというのは感じるし、リアルタイムで観ていたとしたら今とは違った感想があったような気もする。
何れにしても他の芸人監督やらとは一緒にすべきでないことは理解する。
※以降、多少のネタバレ要素含む


さておき、
映画そのものの印象としては(不良)中年の童話物語という印象を受けた。


現実逃避を渇望する中高年層にとっては心の襞にグッと来る部分もあるのじゃなかろうかと。
思い通りにならない現実と報われない日々、そこからの現実逃避、そしてまた現実。

リーマンに置き換えてみよう!
自分「もう仕事するの嫌になっちゃったよ・・」
 ↓
上司「急だけど沖縄出張行ってきて」
 ↓
自分「あそこの仕事って確かキツくない??いきたくねぇな・・・」
といいつつ、会社命令に逆らえるはずも無くin沖縄・・
 ↓
現地担当「せっかく来てもらったんだけど、まだ出番がないんだよね。ちょと待っててもらえる?」
 ↓
なんだよそれ。。と思いつつ仕事もせずに遊んでいられる日々が続く
そんな日々が永遠に続くような錯覚さえ覚え始めたある日。。。
 ↓
「準備できたから、仕事して」と言われ夢のような日々は突然終わりを告げる。
グリム童話とは本来残酷な物語である。


リーマン業務とは異なり、彼らの職業柄そこには常に物理的な命のやり取りが発生している。
そんな残酷さと無邪気さが共存している部分に童話の匂いを感じた。
この映画は残酷だ。
しかし、バイオレンスなシーンが残酷なのかと聞かれるとそうでもない気がする。
映画の宣伝などでは暴力的なシーンが強調されていたように思うが、実際の映画の中において、そういう部分は想像よりずっとあっさりと扱われていたような気がする。
それがかえって恐怖のようなものを引き立てていたのかもしれないが、それよりも何よりも、主人公の心の抑揚の激しさが残酷なのだ。と私は思う。
けれどそれは決して言葉にして表現されたりはしない。
その辺が北野映画たる所以なのだろうか?


それから、特に冒頭部分に顕著に見られるが一見すると「何?単なる下手くそじゃないの?」
と思わず口走ってしまいそうになる学芸会のような台詞。
恐らく意図的なものなのだろうが、そこに対する意図は私にはわからんかった。。
ただ、そのことがリアリティをかき消していたような気がするし、そこに何らかの意図があるのかも知れないとは思った。


私はコーエン兄弟の作品が好きで日ごろから好んで観ていた。
彼らの作品は毎度毎度、キャラに対する異常とも言うべき思い入れによってかなり細かい設定がされていることが多い。
これは単なる個人的な好みの問題なのだが、そういう作品を普段好んで観ている私としては、
どうしてもその辺が中途半端に見えてしまうというか、せっかくそれなりに特徴的なキャラ設定をしているのだから、もっと細かい部分で際立つエッセンスを追加してくれると尚良し!と思ってしまうのだ。
これはほんとに好みの問題ね。


音楽が流れるシーンは非常に少ない映画という印象が強いし、
使われている曲も2種類くらいなのだが、そこは流石というべきか?
有名なオープニング音楽でありエンディング音楽であり挿入曲でもあるあの曲。(タイトルは知らん)
あの曲ひとつが、あらゆるシーンにマッチしてくる。
使われているシーンは必ずしも同じような局面とは限らないのに何故か馴染む。
さすが、久石氏。


北野ブルーなどと言われるように映像そのものの評価が世界的にも高いようだが、
視聴状態があまり良好ではなかった為、映像に関するコメントは控える。


この作品に関しては監督北野武より役者ビートたけしの方が魅力を感じる。
彼が男性として最も魅力的でキュートさとセクシーさを兼ね備えていた時代のような気がする。
演技の良し悪し、上手い下手については触れない。


そして、最後に。。。
ソナチネ
このタイトルに秘められた言霊を引き出すべく、知恵と念力を駆使したものの辿りつけず。。。。
が、それでは悔しい!
悔しいので、無理やり搾り出してみる。


ソナチネとは音楽用語でソナタの一種?かなんかで、冒頭とか簡単とか一部とか?の意味らしい。
・・・・(考え中)
始まりの終わり?
一部の全部?
光と影?
仮想と現実?
上手く表現できないけど、なんかそんなような対極であるものを表現しているような???
うむむ、今日はもう考えるのやめた・・・

製作年:1993