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ひと昔映画日記

素人の映画雑食日記 それこそ我が映画道

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995)

アニメ界のヌーヴェルヴァーグ

ほんとはアニメは除外しようと思っていたけど、最近のアニメはクオリティ高いし良作も多そうだし、後でいつ観たのか確認できるから可能な限り書いておこう。

観たのはちょっと前になる。

この映画はどえらい人気があるようで、ずっと前から存在は知っていたがなんとなく機会が無く観る事が無かった。

批評や感想などはネット上に山のように転がっていることだろうけど、自分の目で観て感じたことだけを頼りに私なりの今時点の感想として保存しておく事にしよう。


何がそんなに人気なんだ?などと思いを巡らせつつ鑑賞。
映画の方は話題のあの人押井守監督作品。

まず冒頭部分からオープニングにかけて映像の繊細さと美しさに最初のところで掴まれる感じ。
ハイテクノロジーな映像に幻想的な音楽という今や常套手段かと言いたくなるようなことがだ、きっとこの映画もパイオニアの一つなんだろう。
こりゃほんと、職人の仕事だわ。。。
ほの暗い映像の中に機械化を象徴するようなグリーンが浮かぶ。
幻想的でもあり、この物語が背負う重さとリンクしているようにも感じる。


2030年ごろの近未来を舞台にした作品なんだけど、世界観やら設定やらよくできている。
「電子や光がめぐっても、国家や民族が消えてなくなるほど情報化されていない近未来」
という時代設定がまた憎い。

この微妙にちょっと先の未来という設定が妙なリアリティとSF的でファンタジックな空気感の両方を表現しているように感じた。
本当にこんな時代が来るのかもしれないという気持ちと、幾ら技術が進歩したからといってこうはならないのではないかという両極な感情に支配される。


そして、主人公である”少佐”は全身サイボーグの戦闘プロでありながら女性であることも設定の魅力だろう。
役柄、見た目、声の何れをとってもこの世界観に遅れを取ってない。
まさに女版ハードボイルドという感じで、幅広い嗜好のニーズにこたえられる気がする。

脇を固める公安9課のメンバー達もビジュアル的にいけてるわけじゃないところもまた絶妙と言いたくなる。
単なるヒーローものに成り下がる可能性をうまい具合に阻止ていて、ぶれない。

このアニメはヒーローアクションものとは違うと思うしそういう要素は排除するのが正解だと思った。

アニメの新しいジャンルを切り開いた?と思ったりする。

それまでのアニメーションといえば、ヒーロー(ヒロイン)、アクション、ロボット、後はスポーツ?あたりが相場(もちろん全部ではないだろうけど)だったのだろうけどこの作品はその何れでもなく、全てでもあり、もっと多くの要素を含んでいる。


電脳化が進み、ネット無しの生活など考えられないというような時代でありながら、物語を通して訴えかけてくる本質は非常にアナログであるような気がしてならない。

ゴーストとは何だ?
人が人であるための最後の切り札のようでもあり、一番疑わしいもののようでもある。
何をもって自分は生きてるといえるのか?
純文学とフロイトを同時に喰らわされたような気分だ。
単なるアニメだと思って甘く見ると噛まれるね、こりゃ。
言葉の端々にサブリミナルのように仕掛けられる台詞や映像、何かを掴みかけているような、掴み損ねたような不思議な感覚。
嫌いじゃない。
とはいっても簡単にはいかないので、時間をかけて続きを書いてみるのもいいだろう。

ということで、非常に興味深く、斬新な作品だと感じる。
一つ残念なのはON時の少佐は文句なしだが、OFF時の少佐との間にもう少しギャップがある方が個人的には好きなので、
その点で少し気持ちを入れられなかったのが残念。

それにしても、SFなんて大嫌いだった私自身の嗜好を変えるに至るこの見えない底力に敬意を。。。


総評:☆☆☆☆
物語:☆☆☆☆☆
演出:☆☆☆☆
映像:☆☆☆☆☆
音楽:☆☆☆☆
役者:☆☆☆☆(声優及びキャラクターということになるが)
制作年:1995

<ジャンル>
サイバーパンクSF

<お奨めの気分>
頭は結構使うので、疲れてない時の方が良い