ひと昔映画日記

素人の映画雑食日記 それこそ我が映画道

キリクと魔女(1998)

上質のアートだね

この映画は、数ヶ月前に観た映画で、スタジオジブリが国内に持ち込んだ海外アニメシリーズのうちの一つ。
フランスのアニメーションなんだけど、率直に良かった!!

収録時間:75分
レンタル開始日:2004-02-20

Story
泉の水が涸れ、男たちはすべて魔女に食われてしまったアフリカの村に生まれた少年・キリクは、持ち前の好奇心と行動力で、賢者が住むという“禁じられたお山”へ出掛けていく。フランスの公開で異例の大ヒットを記録したミッシェル・オスロの初長編作。 (詳細はこちら

たいした期待もしていなかったんだけど、まず絵が素晴らしい。
とってもアナログな感じなんだけど、そこがまた良かったのかも。
CGをふんだんに使用した精巧なアニメの絵に慣れてしまっていたこともあるのかもしれないけど、逆にとても新鮮に感じたし、何しろ色彩が豊かでとても美しい。
ポップアートのようにカラフルで、でも可愛いとか綺麗とかそれだけじゃなくて、不思議な魅力があるんだよね。
なんか、なんだろう、少し怖いような感じもするところがまた気を惹かれる。
まずあの絵で最初にがっちりハートをつかまれてしまう。
さすが”おフランス”芸術点は相当高いと見た!

そしてお話の方はというとフランスのアニメだが舞台となっているのはアフリカなんだよね。
それに合うようになのかな?
絵柄もカラフルとは言いつつパンチの効いたアースカラーをベースに対照的なゴールドやらブルーやらの色が映える映える。
古代エジプト文明の宝飾品を彷彿とさせるような、そしてまたアフリカンにはそういう奇抜な色彩が似合う事。


↓以降ネタばれ
なんと!驚いたことに主人公は生まれたての赤ん坊だ。
しかも、しゃべる!そして異常なほど足が速い!そして大人顔負けに賢くて勇敢でもある。

それが”キリク”だ。

冒頭で、生まれてすぐにしゃべり始めた時は、この映画はホラーかいな?と思ったが、なんのなんの立派なヒーローアクションものだ。
もちろんヒーローはキリクだよ。
キリクが村の外れに住む魔女と対決しながら村を救っていくというショートストーリーの集まりような作りになっている。
正確にはそのショートストーリーを通して全体のストーリーも動いていくんだけど。
基本は、キリクが魔女からしかけられる罠を次々に解決していくという大筋だけを聞くとそんなものーどこにでもある話しじゃないの。
って思うんだけど、そうは行かないのがこのアニメの楽しいところだ。

アニメを観るときの心構えでもって観はじめるとほんともみくちゃにされるね。
おいおい、そうくるか!の連続。
なんとも心地よい裏切りにフワリフワリと乗せられてすっかり引きずり込まれてしまった。

そしてショートストーリーも三つ目あたりに入ってくると今度はどんなビックリをプレゼントしてくれるのだろうとワクワクしてしまう。

ヒーローアクションとはいっても、キリクがスーパーマンのような強さではこの映画はなりたたない。
確かに賢くて足が速いのは事実だしその時点で普通じゃないだろうとは思うが、それ以外の特殊能力があるわけでもなく、力だって強くない。
そして、勇敢ではあるけれど無敵なわけじゃないから、キリクだって戦うのが怖いし、不安だってあるんだ。
でも、皆を村を守る為に知恵と勇気を振り絞って必死で戦う。
ほんと、その辺が上手いというか、絶妙のバランスに仕上がっていて、強いだけのヒーローでも、全てを背負い込んだ悲劇のヒーローでもないところが、大変心地よく痛快であった。

大人にこそ楽しめるアニメーションだろうと思う。


総評:☆☆☆☆☆
物語:☆☆☆☆☆
演出:☆☆☆
映像:☆☆☆☆☆
音楽:☆☆☆
役者:☆☆☆☆
制作年:1998


<ジャンル>
ヒーローアクション!


<お奨めの気分>
ほのぼのHappyな気分になれるので、少し落ち込んだりしてる時に良いかな