サヴァッティーニの原作を映画化したファンタジードラマ。キャベツ畑に捨てられ6歳まで老女に育てられた青年が、亡き老女の霊に助けられながら地域住民たちを救っていく。幻想的なラストシーンが話題を呼んだ。カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作。 (詳細はこちら)
クラッシックも一本観ておきたいと想いどうせなら、パルムドールでレンタル可能な最古の作品にすることにした。
この作品と「令嬢ジュリー」が同時受賞だったのだけど、気楽に観れそうなのでこちらにした。
当然モノクロ映画である。
内容はファンタジーかなぁ。
この頃の映画にはよくあったのだろうけど、少しミュージカルというか舞台のような演出がされている。
物語はキャベツ畑に捨てられていた赤子を老婆が拾い?育てることに。
老婆に先立たれた後、孤児院に預けられ成長後、孤児院を出たところから本題スタートという感じ。
青年になった主人公は職を求めて街を彷徨うが、路上で結婚式を終えて車に乗り込む新婚さんを見送る一団に遭遇し、見ず知らずではあるが、おめでたい性格の主人公がそのまま素通りできるわけもなく、列席者に混じって祝福の拍手を送るのだが・・・
その最中にかばんを盗まれる。
すぐに気づいた主人公はかばんを盗んだ人の後を付けてゆくことに。
そこから、彼の進むベクトルが大きく転換されていくのだ。
まず最初に。
クラッシク映画を観る時の心得。
現代の映画とまとも比較したり、同じ感覚で楽しもう等と思ってもそれは無理がある。
何しろもう半世紀以上も前に作られた映画なわけだから、その後の技術や設備の進歩とまともに勝負して勝てるわけが無い。
なので、こういう作品は映画史に興味を持てる人や、この映画が作られた時の背景などを鑑みて鑑賞できる人でなければ、はっきりってそれほど面白いとは感じないだろう。
この時代ならどういうテクニックで撮影してるだろうなぁ?とか、ああいう時代だったからこういう映画が広く受け入れられたのかな?とか、この時代のファッションって興味深いなぁななどと想いを馳せることができるかどうかなんだろう。
内容の方はというと、ユーモアのセンスや無駄に?前向きな姿勢がいかにもラテン民族らしい。
吉本新喜劇も真っ青なドタバタものである。
戦後間もない復興の時代に製作されており、そういう時代背景がこのような、ありえない夢や希望が叶うファンタジー作品へと駆り立てたのだろうか?
とも思ったりする。
監督のヴィットリオ・デ・シーカはこの作品の前に『自転車泥棒』がアカデミーでのノミネートされている。
ネオレアリズモを提唱する映画監督としても有名な人だ。
自転車泥棒とは対照的に、ミラノの奇跡は喜劇であるが、自転車泥棒からの数年間で風潮の変化を受けてのことだったのだろうかなー?
とも勘ぐったりしてみる。
本音のところは、確かにこの映画が手放しで喜べるほど面白かったかといわれたら、それは、、、。
ただ、こういう時代を経て積み重ねて来たものがあってこそ、現在極上の映画にありつけるのだという敬意を持って、偶にはクラッシクもカンフルとして視聴していきましょう。