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ひと昔映画日記

素人の映画雑食日記 それこそ我が映画道

パプリカ(2006)

日本 アニメ SF ファンタジー サイコ 2000年代 ☆5

至極リアルアニメーション

今敏監督の存命中の最後の作品。

監督:今敏
収録時間:90分
レンタル開始日:2007-05-23

Story
筒井康隆の傑作SF小説を、『東京ゴッドファーザーズ』の今敏監督がアニメ化したサスペンスファンタジー。他人の夢を共有できる画期的テクノロジー“DCミニ”をめぐる謎に、美人セラピスト・千葉敦子が挑む。制作は『時をかける少女』のマッドハウス。 (詳細はこちら

私自身この監督の映画にも見慣れてきた来た。
このお正月でクラシックからメジャーまで色んなジャンルの映画を視聴したのは、この映画を観るにあたっては非常に良い効果があった。
他の作品をたくさん観たことでより明確にこの監督が作る映画の特徴がつかめたし、そういう楽しみ方もできた。

環境の良さも手伝った部分もあったが、これは今まで観た今敏監督の作品の中でNo1だ。


少々駆け足なストーリー展開だった気もするが、スピード感を重視するならそれもありかなと思えた。
ストーリーを堪能するのであれば、確かにもう少し長めに時間をとってじっくり展開させるのも良かったかも知れないが、
せっかくあれだけ動きのある映像を多用してるのだからそれが死んでしまっては意味が無い。
そういう意味であれで良かったように私は感じた。

映像は前々からだけど文句のつけようが無い。
映像美の面は言わずもがな、だけどちょっと言っちゃうと、色の使い方。
そこまで含めてこの監督の場合はストーリーなんだよね。
色も、大事な話の一部である。
もちろんどんな映画だって色彩には気を使うだろう。
だけど、それとはまた違う色の役割がこの監督の作品にはある。
引き立てる為の色彩や世界観を表現する為の色にとどまらない。
色彩そのものが、語り手でありえる絵の世界がある。

そして、数年前に製作された作品なのに映像にどこか懐かしさみたいなものを感じるんだよね。
ハイテクノロジーな話だから当然時代設定が古いというわけではないはずだ。
今までの作品は、時代設定が昭和くらいでも別に違和感の無い作品だったから、そのことを自然に受け入れていたけど。

上手くは説明できないけど、手塚治のアニメを観た時と同じような感じがした。
なんでそう感じたかはよくわからない。
ただ、映像そのものに懐かしさを覚えるのは、色使いが関係してるところがあるんだろう。
白を白でなく若干セピアっぽくしてるんだと思った。


それから弾けるような場面の切り替えもこの監督の特徴だよね。
暫く違う映画を観ていたから余計に目に付く。
場面を流さないのがこの人のやり口。
風船が弾けるようにして、場面が切り替わっていく。
千年女優あたりではかなり多用していたが、久しぶりに観て「あーそうそう、これこれ」ってな感じ。


この作品はサイコファンタジー?とでも言うんだろうか、今までの彼の作品の場合は劇中劇を使って重なる世界が表現されてきているが、今度は”夢”だ。
さすがに今回もまた劇中劇だと、ちょっとワンパターンだろー。。。とそろそろ言いたくなるところでのこの題材。
前にも書いたがほんとに、引っ張るのが上手い。
ギリギリまで引っ張って、限界手前でまた振り向かされるというわけだ。



↓以降ネタばれ

ただ、残念なのは主人公の声。
どうかなぁ、、、林原めぐみでよかったのかな?
慣れればそれほど気にならなくはなるが、そもそもパプリカとあっちゃんが同一人物なのは展開から誰でもわかる事だし、既に見た目が別人なのだし、無理して声を同じ人が担当する必要は無かった気がする。
パプリカとあっちゃんとそれぞれ適した声を別の人で担当した方がむしろしっくり来たような気がした。


それ以外のことについては、ほぼ問題なし。
パプリカは夢の住人だから多少デフォルメ過多でも逆にその方がリアルだし、それ以外の現実世界の人間の描写が相変わらず上手い。
アニメである事を忘れるのにアニメでしか表現できない(或いは実写だと難しい)事をやってのけるのが、この監督の持ち味であろう。


ストーリーの方はというとDCミニという夢の中に入っていける装置が盗まれたことで事件が起こっていく。
その事件の解決の為、奔走するのがパプリカというわけだ。

冷静に考えると、そんな大それた装置にアクセス制限がされてなかったことに無理を感じるがw
まぁ、その辺はご愛嬌。

題材が夢っていうのは面白いよね。
夢って二つの意味がある。
一つは、寝ている間に見るあれのこと。
それがこの映画の主軸であるけど、もう一つは人生の夢(目標とか希望とか)。

そんな二つの種類の夢が、表と裏と折り重なってもう一つの物語を紡いでるような気がする。
前者の夢を後者の夢に置き換えながら解釈してみるのもなかなかの楽しさだし、今までの作品と比べるとぱっと見あっさりしたストーリーに感じるけど、実はそう考えると奥が深い。

刑事さんが見ていた悪夢にしたって、そのことが彼の人生の夢と繋がっていることだし、自分の悪夢を自分の現実で完結するわけだ。

前者の夢と後者の夢
最初にこの言葉をつなぎ合わせた人はすごいね。
寝ている間に見る幻想??見たいなものと、人生の目標なんて同じようなもとってことかしらー。



総評:☆☆☆☆☆
物語:☆☆☆☆
演出:☆☆☆☆☆
映像:☆☆☆☆☆
音楽:☆☆☆☆
役者:☆☆☆
制作年:2006


<ジャンル>
サイコファンタジー?かなぁ

<お奨めの気分>
いつでも観られるね。
疲れているときでも、落ち込んでいる時でも、楽しい時でも。
それだけ解釈の幅が広い映画だと思う