ひと昔映画日記

素人の映画雑食日記 それこそ我が映画道

ニューヨーク東8番街の奇跡(1987)

スマイル、スマイル

スピルバーグです。
とはいっても監督ではなく製作総指揮ですが、映画の方は昔のスピルバーグカラーがしっかり出ているので彼の作品という言い方でも問題ないかと思う。


AIで懲りたんじゃないのかよ!と自分に突っ込みたくなるが、これには訳がある。

かれこれ20年以上も前の作品で私がまだ映画に目覚める前、中学生の頃に学校の社会見学的なイベントで映画館に学校行事として観に行った映画なのだ。

故にとても思いで深い。

しかし、それ以来一度も観ることなくほんと20年ぶりの視聴ということになった。

当時の自分はまだ映画に目覚める前で、子供向けの映画以外で映画館で映画を観るなんて多分初めてくらいだっただろう。
スピルバーグが誰なのかもよくわからん状態で観ていたに違いない。

そうはいっても映画館では楽しんで鑑賞していた記憶がおぼろげながらあった。
はたして今観たらどう思うだろう?
そんな好奇心に駆り立てられての視聴である。


結論
これはいい!
もちろん娯楽映画としての話だけど。
あの頃感じた楽しい気持ちは今観ても変らず湧き上がるということが実証された。

やっぱりスピルバーグはこうであって欲しい、こうのままでいてくれ。
流行とか気にしなくて良いから、こういうオーソドックスなやつを撮ってて下さい。

ハリウッドの娯楽映画らしい解りやすくて楽しい映画。
そういう映画こそこの監督の持ち味が出るのではなかろうか。

なんとも微笑ましい映画なのである。
そう、爆笑する感じでもなく、シュールで前衛的な笑いでもなく、本当に口元がにっこりと。


正直ハリウッドのコメディと言われる分野に属する映画は自分には合わない。
何が面白いのかよく解らんの。

だから、観ていて微笑ましくなるこの作品みたいな方が断然好きなの。


そしてもう一つポイントを挙げると、役者が良いね。
まず、自分的には何をおいてもジェシカ・タンディ
本当に可愛らしいおばあちゃんで、大好きな役者のうちの1人だ。
表情や仕草はもちろんだけど、声が良い。
だから、彼女が出演する映画の時は絶対に吹き替えでは観ない。
あの声あってのジェシカですから。

脇を固める役者達も正直誰なのかはよく解らなかったですがw
でも、いい。
後で調べてみて解ったが、ジェシカの旦那役は本物の旦那だった。

それぞれ物語にあった個性がしっかり出ていて馴染んでいた。

ニューヨーク東八番街。
新開発予定地となり、周りの建物が次々に取り壊される中、最後まで拒否を続けるぼろビルの住人達が主役のお話。

1Fでカフェ?食堂?的ななんかを営むジェシカとその旦那が主役。
但し、ジェシカ演じるフェイは若干ボケが来てるので事実上旦那が1人で切り盛りしている。

各階に住む住人も適度に個性的でいい感じ。
個性が際立ちすぎると上述の通り自分には合わない可能性が高くなるのでこの適度さ非常に良かった。

・元ボクサーだけども今は内気で無口なハリー
 何の仕事してるかしらんけど、いっつも床のタイルを直してる。
 前半は完全にサイレントを決め込むが、後半心を開いてポツリ・ポツリとしゃべるようになる。
 時折いたずら好きの少年のような表情を見せるようになる。
 そのギャップがとてもいいよね。

・売れないミュージシャンの彼氏がツアーを終えて戻ってくるのを待っている妊婦のマリサちゃん
 スペイン系移民の設定なのかなー?オリエンタルでとっても可愛らしい。
 声が少しハスキーな感じもまた可愛い。

・売れない画家、名前は忘れたけどこちらは出だし早々に彼女に愛想をつかされて逃げられてしまう。
 芸術家っていう設定の割りに意外と普通っぽい感じが、この話にはあっていて良かったよね。
 彼女に逃げられた後、マリサにミュージシャンの彼氏がいるのを知りつつも心惹かれていく。
 なんとも普通っぽい感じが可愛らしかったね。

住人達がみんな、みんな、ハリウッド映画にありがちなオレ様キャラじゃないところがこのお話の素敵なところなんです。
個性はあるけど少し控えめで、そこがとっても可愛くて頑張れよーって応援したくなっちゃうような。

そんな住人達が住まうぼろビルにチンピラ風情の業者の手下が強引な手段で立ち退きを迫ってくるわけですよ。
さてさて、如何様にこの危機を乗り越えるのやら。。。と思いつつ。


※以降ネタばれ↓

さすがにその辺の設定は覚えておりましたが、円盤型UFOみたいな謎の生命体がチンピラにぶち壊されたお店を一晩で元の状態よりも綺麗に直してくれましたw

UFOが出ちゃったからにはSFなのかというとその辺がちょっとこの映画の面白いところで、UFOに宇宙人が乗ってるわけじゃなくてこのUFO自体が生命体らしきものとなってるんだな。

なので、観ていてもSFというよりはファンタジーって感じで、そのUFO達も機械というより謎の小動物というか妖精というか、ニュアンス的にはそっちの方が近いような感じの存在なのだよね。
心優しき住人達にとっての助っ人でもありペットのようでもある。そんな立ち位置だっただろうか。

そうして、謎の生命体と共存しながら、アットホームなエピソードを交えつつ立ち退き要請業者との戦いが続くわけです。
なんだかんだいいながら、嫌がらせをしていたチンピラ風情も、所詮チンピラだけあって根は良い子なんです。


この映画は娯楽映画としてみるにはかなりポイントの高い映画だと思う。
何より、頭使わなくて観れるのにふんわり気持ちが軽くなる。
お手ごろなサプリメントみたいな映画だよ。



※本来の映画とは文学のようなものだと自分は位置づけているので、そういう意図で判断してしまうとどうしてもポイントが下がっちゃうから、今回は娯楽映画としての評価とする(今後もそういうときがあるかも知れないので星の色を変えておく)

総評:★★★★★
物語:★★★
演出:★★★★
映像:★★★★
音楽:★★★★
役者:★★★★★
制作年:1987


<ジャンル>
ファンタジーだと思うよ


<お奨めの気分>
疲れている時こそ観ると良い映画