ひと昔映画日記

素人の映画雑食日記 それこそ我が映画道

ブラックブック(2006)

監督:ポール・バーホーベン

なんか、なんとなくチョイス。

しかしノーカントリーで気合入りすぎたという回りの悪さもあり、
ちょっと気が抜けた状態で視聴してしまったので、評価にも影響するかも。



ナチス統治下のオランダでドイツ兵に家族全員を皆殺しにされた、一人の若いユダヤ女性の半生を描いた作品ですかね。

生きるため、そして報復の為レジスタンス活動へとその身を投じる。
最初のうちは雑用的な作業を任されていたが、人員不足の為徐々に危険な任務へと変わり、最終的には敵(ドイツ軍)の将校をお色気でたぶらかすスパイ活動へと転じていく。

そこからが本題って感じです。


結構長い映画なんだけど、お話がずっとイベント目白押しなので飽きる感じは全然ありません。
終始スリリング。

戦争や民族愛について考えさせられる部分が無いわけではないんだけど、
どっちかっていうと、ミステリーとかサスペンス要素の方が強い。

その辺のサスペンス要素は良く出来ていて、ほーそうなんだ。なるほどね。って感じで頷きどころも結構ある。


全体の印象としては、優等生的な映画で上手くまとまってるなぁってかんじ。
それゆえに、オリジナリティには欠けるところはあるけど大河ドラマ的な感覚で楽しむのに向いているかな。


映画自体の表現も解りやすく、話の展開も早くスピード感があるのは見やすいといえるけど、その反面登場人物の心の機微を描く部分はだいぶ端折られているので、ぐっと感情移入するような映画が好きな人にはあまり向かない気がした。
アクション映画が好きな人の方が意外と楽しめそうかも。


ただし、お色気シーンが多いのでそういうのが苦手だけどちょっときつめ。




↓ネタバレ


オランダ国内に住むユダヤ人女性という設定なので、その辺が結構Keyになってるんだよね。

レジスタンス活動とは一言に言っても、オランダ人とユダヤ人という二つの民族がともに協力しながら活動しているので、お互いの利害や心情などが複雑に相まって、敵はどちらにとってもドイツであるはずなのに、一枚岩になりきれない部分があったりして。


中盤のイベントで、オランダ人を救う為にはユダヤ人を犠牲にしなければならず、逆にユダヤ人を救う為にはオランダ人を犠牲にしなければならないという局面にぶちあたる。

当然そこで揉め事になってしまうわけだわ。


私自身そういう選択を迫られたことが無いのでなんとも難しいのだけど、自分にどれほどの民族や祖国愛というものがあるのだろうかと思案する。



そんでもって、この主人公が驚くほど逞しい。
家族の皆殺しから始まって、その後も何度も騙されたり裏切られたり、利用されたりするのに決して折れない。
個人的にはその強さがどこから来るのか、何が彼女を支えているのか、その部分をもっと丁寧に表現して欲しかったな。

それが無いので、この人すごいなぁーという客観的な印象だけで終わってしまうんだわね。

ま、でもなかなかテーマもスケールも大きく捉え方次第で膨らませることはできる。


ただ、タイトルにもなっているブラックブック。
もちろん鍵ではあるんだけど、若干一人歩きしている印象があったよね。
もっと違うタイトルの方がしっくりくる気がした。


総評:☆☆☆
物語:☆☆☆
演出:☆☆
映像:☆☆☆
音楽:☆☆☆
役者:☆☆☆

<ジャンル>
サスペンス?

<お奨めの気分>
意外と負担が無いので、気楽にいける
時間的には長めだから時間には余裕があるときだね