読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ひと昔映画日記

素人の映画雑食日記 それこそ我が映画道

オアシス(2002)

韓国 ラブロマンス ドラマ ドラマ(社会派) 2000年代 ☆5

やるもんだね。韓国映画

出演者:ソル・ギョングムン・ソリ、 アン・ネサン、 チュ・グィジョン、 リュ・スンワン
収録時間:132分
レンタル開始日:2004-12-23

Story
ペパーミント・キャンディー』のソル・ギョングムン・ソリ主演によるラブロマンス。前科3犯の男・ジョンドゥと、脳内麻痺の女性・コンジュのふたりが、社会から疎外されながらも、ひたすらに“ふたりだけの世界”を築き上げていく。 (詳細はこちら

韓国映画とか殆ど観た事ないんもんで、多分ほぼ初くらいかな。
おかげで新しくいろんなことを知ることが出来て勉強にもなりましたよ。

お国事情とでもいうんでしょうか、日本と韓国ってこんな近くにある国なのに、
やっぱり違うのだなと。

なんでこんなこと思うかっていうと、この映画日本じゃ絶対作れないなって。
というか、作れる国の方が少ないだろうね。
それほどまでに稀有で、唯一無二の威光を放っていると感じた。
韓国国内であってもこれほどまでの作品はそうそうあがってこないと思われる。


完結に表現すると「障害者と前科者の異色の純愛ストーリー」ということになるかと思う。
これだけ聞くと、日本だってそいうようなのあったじゃんって思うわけよね。

あー確かにあったあった。
しかしね、あんな生やさしいもんじゃないんすよ。
日本で以前に製作された作品は映画にしろドラマにしろ、結局メロウでファンタジックな展開に持ち込まれるのがおちだったわけで、観てるとイラっとすることすらあったわけ。
なんていうか、そういう設定がいいように利用されてるだけって感じで、茶番にしか見えなかったりね。


この映画はそういう意味で全く性質の違うものだったと思う。
広く題材は同じでも、リアルな部分に焦点を当てていて正面から勝負している、そんな気迫が伝わってくる。
監督の意気込みに呼応して、主演二人の演技も迫力満点であります。

劇中のあるエピソードがきっかけで互いのこと姫・将軍と呼び合うようになる。
姫の方が障害者で将軍が前科者という設定だが、どちらも強烈だ。
障害とは言っても、日本で扱われてきた類とはレベルが違う。
脳性麻痺という重度の障害を抱えた女性をヒロインとして設定するなんて、予測の範囲を軽々飛び越されてしまい面食らってしまった。

男の方も負けずと猛烈なインパクトである。
むしろ、私個人の印象としてはこの将軍の方こそ度肝を抜かれた。
リアルにも程があるだろ!と突っ込みたくなるほど生々しい。
過去に暴行や強姦未遂の罪で3回の逮捕暦があり、さわりの部分を観ただけで紛れも無くソシオパスだと気づかされる。
常に鼻を啜るようなチックと貧乏ゆすり、独特の姿勢と終始ニヤついていて行動に理性が全く伴っていない。
そのニヤけた表情故に、善悪の判断が出来ないのか、或いは人をバカにしているのかの判断も難しい。
自分がアブナイ人と感じる人物像そのものだった。

そんな二人の純愛ストーリーとなると、もう、どんな展開になるのやら全くもって検討もつかない。


↓ネタバレ
あまりにも強烈するぎる二人の主人公を見て、これはフィクションなのだろうかという疑いすら感じてしまい、
あろうことか鑑賞の最中にネットで情報をあさってしまった。。。

その結果、二人とも役者として演じているということがわかってしまい若干気持ちが盛り下がって後悔する羽目になった。
もうああいうのはやめよう。。。


気を取り直して本題。

将軍は過去に強姦未遂で捕まったことがあるような男なんで、フェミニズムなどという言葉とは無縁の人生を送ってきたのだろう。
そんな男が純愛?
どういう風の吹き回しですかね?としか言いようがない。
かたや姫に関しては、恋をすれは純愛になることだろうが、ある意味殆ど軟禁状態ともいえる劣悪な環境下におかれている為、とてもそんな機会がめぐってくる様には思われないわけだ。

そんな二人の出会いとは?
この物語は、将軍が刑期を終えて刑務所を出所した直後から始まる。
その罪はひき逃げ。
が、しかし物語が進むと真実が明らかになるのだが、このひき逃げ事故は将軍本人ではなく、
本当は将軍の兄が起こした事故だったのだ。
弟である彼は、元々前科者で職も無い自分が捕まった方が良いと提案し、兄の身代わりとなる。

出所してきた将軍はどういう意図であったのか、ひき逃げ事故の被害者の家族の下へ手土産を持って参上する。
そこで被害者の娘である姫と出会うことになるわけだね。

将軍は姫に興味をもち、手を尽くして姫に近づく。
最初は乱暴や或いは冷やかしが目的だったのかもしれないけど、徐々にその興味が純粋なものへと変化していく。

彼のようなキャラクターであることがここに来てかなり効いてくる。
将軍がもしも日ごろからフェミニストで優しいキャラクターであれば、
姫に対する好奇心や優しさは特別なものではなくなるどころか、逆にうそ臭くなる可能性の方が高い。
将軍だからこそ、その気持ちが同情でも哀れみでもなく本心なのだと信じられる。

まあ、相変わらず姫以外の女性には呆れるほど手厳しいがね。。。
平気で女性に乱暴するような男なのに、姫のことになるとまるで別人。
洗濯をしたり散歩についれていったりと実に甲斐甲斐しいし、決して乱暴なふるまいはしない。

寄り添っていく二人を見ていると何やら罪深く心苦しい気持ちがこみ上げてきた。
これはなんだろう?
この映画では公然と身内でありながら障害者蔑視や、前科者蔑視をする人々の姿が描かれている。
韓国でどれほどこのことがリアルなのかは判断できないが、
日本だってここまであからさまということは無いにしろ似たようなことが現実にあるのだろうな。
互いに社会に受け入れられないその理由の一つを自分のような人間が作っているのかも知れないという罪悪感。
特に将軍のような人物に対しては、その素行だけを見てアブナイやつだと決めつけ、そういう目でみてしまう。
もちろん本人自身の問題もあるんだろうけど、こちらが思う以上に彼らはきっと敏感で、拒絶を読み取ってしまうから余計に溝が広がってしまう。

姫はそういう気持ちで彼とは接していないし、そのことが将軍に伝わる。
だから距離が縮まる。

特異な設定のラブストーリーだけど、人間の本質を浮き彫りにするようなあらゆるテーマを奇麗事ではない形で正面から扱った貴重な作品だと思う。
そりゃ映画ですから、多少は演出で美化されるような部分もあるにはあるけど、本質を揺るがすほどのものではない。

障害・犯罪・女性蔑視・社会不適合
当然華やかさなどは皆無であるが、本当に色んなことを考えさせられる。
ラストはハッピーエンドでもバットエンドでもない。
その辺がリアルだし恒久的で観ただけで終わらせてはいけないという何かを物語っているようでもあった。

自分には犯罪者や障害者の知人がいない。
その為、どこか人事のように意識すらせずにやり過ごしてきたが、直面したときどう行動できるのか。
いい機会を得たのだと思う。


総評:☆☆☆☆☆
物語:☆☆☆☆☆
演出:☆☆☆☆
映像:☆☆☆☆
音楽:あったかな?
役者:☆☆☆☆☆

<ジャンル>
あえて指定しないことに。。

<お奨めの気分>
かなりヘビーだし、辛いことも感じる。
それを覚悟で観ないといけない。