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ひと昔映画日記

素人の映画雑食日記 それこそ我が映画道

月世界旅行(1902)

世界初のSF映画と位置づけられている映画。

100年以上も前に作られてるんだなぁ。。。

その頃日本は日露戦争の真っ最中ですよ。

なんかすごい。

 

そして、それまでの映画はだいたい2分程度の1シーンで日常の映像を流すモノというのが当たり前だった時代に、初めて映画に複数のシーンを盛り込み、時間的にも14分と当時の映画としてはかなり長い。(いわゆる長編というには短すぎるが)

前述通りテーマもSFということを考えると、相当画期的だったことが容易に想像できる。

 

当時はモノクロバージョンと着色バージョンが作られたが、20年程前まではモノクロのみが現存する状態だったところ、偶然スペインで着色バージョンが発見された。

発見当時はオリジナルの状態が悪すぎて現状保存が限界。

その後暫く保管されていたそうだが、最近になって技術の進歩と支援者の出現により着色版の復元が実現したということだ。

 

この映画は既にパブリックドメインとなっているので、ネット上でも視聴は可能なんだけど、自分は特典映像も見たかったので今月レンタルが開始された着色復元版の方をレンタルして視聴することにした。

 

DVDは、本編より先に「メリエスの素晴らしき映画魔術」というお題で彼の生い立ちや当時のメイキングにまつわる話等がまとめられている。

すごく興味深い内容だった。

メリエスという人は金持ちのボンボンだったらしいのだが、家業には全く興味を示さず。

イギリスへ留学した際に出会ったマジックに心を奪われ自らもその道へ進もうと決断する。

やがて家督の一部を受け継いだ金で、劇場を買収しその劇場で自ら奇術師としてショーを行いながら生活していたらしい。

(庶民の自分からするとそれすらも道楽なのかと受け止めたくなるところ)

 

その後、リュミエール兄弟のシネマトグラフに出会い強い興味を示すことになり、映画の世界へと足を踏み入れる。

 

元マジシャンらしく、SFXを多用したトリッキーな映像がふんだんに盛り込まれていて楽しく、奇抜な作品が沢山作られたようだ。

なるほど、彼の元の職業が色濃く反映されている。

実際に手品でこんなことが出来たら面白いだろうな、だけど現実にはちょっと難しい。

なら、映画の中でそれをやっちゃえっていう、探究心と好奇心の詰まった映像が多く見られる。

 

この当時のカラーは撮り終えたフィルムに人力で着色していくというモノなので、色使いや人力ゆえの精度の低さが逆に芸術性を高めているのね。

ほんと、動く絵画って感じで、それだけでも楽しい。

月世界旅行の本編は、割りとシュールだよ。

若干怖いねw

ポップなんだけど残酷。

そのアンバランスさに引っ張られつつ、ぶるっと寒い感じもする。

SFというカテゴリーだけど半分はファンタジーかなぁ。

月に行くっていうところでは、既に人類はその領域に到達しているので、当時としては紛れもないSFだよね。

 

因みに、特典映像によると本作は旋風を引き起こしたにも関わらず興行的には失敗に終わったらしい。

えー?なんで??って思ったら、あらまぁ大変。

公開直後にフィルムが盗難されたのですって。

その後すぐに盗難品が海賊版として出回った為、彼のところにはお金が入ってこなかったのだそうです。。

かなりの時間とお金を使って作った映画だったので相当ショックだったことでしょうなぁ。

逆に海賊版で儲けた人はまさにボロ儲けってやつよね。 

 

これから先は、映画も3Dが当たり前の時代に入っていくのだろうけど、ファッションや流行がリバイバルするのと同じように、こんな風に素朴なスタイルが見直されて流行りだす時代がそのうち来るのかも知れないね。

 

この映画は評価はしないことにする。

最初の一歩ってのはいつだってそれだけで偉大なのだ。