ひと昔映画日記

素人の映画雑食日記 それこそ我が映画道

バッファロー・ソルジャーズ 戦争のはじめかた(2001)

9.11の時期と重なったことや、試写会でこの映画をみたアメリカ人女性がアメリカにたいする侮辱だとか言って水をかける騒ぎが起こるなど公開前に色々問題が多く、5回も延期されたらしいんだよね。

作り手の意図としては、ブラックユーモアということになっているけど、どこまでが本音だか、その辺は微妙。

個人的にはブラックユーモアとしても風刺としても、
なかなか面白いと思ったよ。
まぁ、決定打には欠けている印象はあったけど。


【あらすじ】===========
冷戦終了直前で平和ボケが蔓延し、規律が緩みきったドイツ駐屯基地のアメリカ軍内部の様子を皮肉たっぷりに風刺した作品。

主人公である青年兵エルウッドも例に漏れず物資の横流しなどに手を染め、本業そっちのけで違法な副業に精をだしていた。
そこへ基地の浄化を公言する新曹長が着任してくる。そんな淀みきった世界に、一人の新軍曹が着任することで怒涛の展開を見せることになるわけだ。
ベトナム上がりのちょースパルタ風の軍曹。
着任早々、兵士達の値踏みを開始する。

主人公と一緒に悪事を働いてたある兵士の腕に目が留まる。
金色のロレックスーw
そこにすかさず不正の匂いをかぎつけ、あっという間に主人公を初めとする彼らは
スパルタ軍曹に目をつけられることになり、ことある毎にカマをかけられ、探りを入れられる。

その状態にストレスを感じた主人公は腹いせに軍曹の娘をデートに誘う。
こうして軍曹と主人公の嫌がらせバトルスタート!!
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主人公も含めてだけど、所謂「いい人」が一人も登場しない。
みんなどこか、そう腐ってるw
そんな印象を受ける登場人物オンリー。

フィクションではあるけど、風刺作品ということを考えると、どの辺りまでが実際に起こっていることなんだろうかと勘ぐってしまうわなーどうも。
劇中にもそういう台詞が出てくるけど軍人にとってみたら平和であるということは、退屈であるということだ。
その退屈を埋めるようにして、当たり前のように悪事に手を染める。
幸いその為の時間はいくらでも作れるし、周りも似たような人種ばかりときてるから罪悪感にさいなまれることも無い。
簡単に言いくるめることができる上司とそれが許される環境も揃っている。
とくれば、もうやりたい放題か。そうなるわな。

客観的に観ると、人は人。自分は自分でしょ?
簡単に影響されちゃって、まったくだらしないわね。なんて思っちゃうけど、
もしも、自分がポーンとこの中に入れられちゃったら、どうなんだろうな。。。
自分で判断できるし流されたりしない!
って言いたいけど・・・


以降ネタバレ↓

まぁブラックユーモアとしてはそれなりに面白いんだけど

序盤は、新しい軍曹がスパルタではあるけど正義の味方キャラなのかなー?
なんて思うんだけど、これがとんでもないw
こいつこそ本物の悪の権化のような存在で、
娘を誘惑されたことに腹を立て、主人公の車を標的に射撃の訓練をさせたり、
挙句の果てに主人公の商売仲間をトラップにかけて殺してしまったりする。

そうなってくると、最初に生意気そうで可愛くないなぁなんて思ってた主人公がちょっと可愛く、そして哀れに思えてくる。

物語中盤で、新しく異動願いを出して異動してきたいかにも初々しい感じの兵士が主人公と相部屋になる。
その兵士が来る前は一人部屋だったのに、勝手に部屋の中を改造され二人部屋にされちゃったw

その時はこれも嫌がらせのひとつなんだろうなって思ってたんだけど
実はその初々しい兵士くんが軍曹の送り込んだスパイだったのだよw

そうとは知らずに主人公はこの新人くんを亡くなった相棒の代わりに自分の裏家業の手伝いをさせてしまうんだな
まんまと。。

話のテンポ自体は良いので観ていて退屈するということは無い。
かといって爆笑するほど面白というわけでも無いし、
シリアスで社会的に訴えるものがそこまであるというわけでも無い

だけど、この喧嘩の行く末がどこまでエスカレートするのだろうかという好奇心はくすぐられるものがあって、
ついつい最後まで観ちゃうって感じ。

最後まで退屈しないで観られるってことはそれだけでそれなりに面白いってことなんだろうと思う。
ということをちょっと前に学習したので。そういうことなんだろう。