ひと昔映画日記

素人の映画雑食日記 それこそ我が映画道

第9地区(2009)

アフリカが舞台のエイリアン映画っていうだけでも異色だけど、更にエイリアンが難民ってw
すごい設定だ。
アフリカ設定ならではというべきか。

今まで観たエイリアン映画っていったら完全にVSエイリアン要素オンリーな映画ばかりだったけど、
共存を図るっていう選択肢はかなり斬新だと思う。
まぁ実際には共存という名の支配であったりとか色々思惑が錯綜してるんだけど。

そういう設定にあわせてなのか、なんか言葉通じてるし、大きさも人とあんまり変わらなくてちょっと凶暴な言葉を話す野生生物との共存か?っていうくらいのニュアンスがいい。
そう、エイリアンエイリアンしてないっつーか、第三の種族くらいの感じが新鮮だよね。
元々民族紛争の絶えないアフリカの地に更なる第三の種族出現。

序盤に地元と住民とトラブルが起こるあたりはそのまま、どこかの国の民族紛争のようでもあり、
アフリカならではの要素も盛りだくさんで興味深い。
腕を食えば力が得られるなんていう設定もまさにって感じ。
政情的な背景も含まれているだろうし、
構成要素はかなり多いのはずなのに交通整理がされているから、娯楽として楽しめる。


対面的には人道的(人じゃないけど)に対応してる風で規律らしいものあったりなんかして、
そこだけ切り出すと我々人類は宇宙からやってきた謎の生物であっても新しい種として受け入れようとしているのだ。
という感じの設定になっているっぽいわけ。

でも、裏ではそれを金儲けの為に利用しようとしている人々がいたり、地元ではギャングやエイリアンや地元住民の利害や思想が絡み合って不穏な状況になっていたりと、
なんだか、エイリアンもののSFなはずなのにまるで現代社会の縮図のようであったり。

一個前に観た「28日後」ではVSゾンビであの映画ではどっちがゾンビやら。。。ってなとこがあったが、
この映画もまた、誰がエイリアンなんだかな。。。というところが大いに見て取れる。
人間の身勝手さを思い知らされる苦い映画でもあるよ。


SFだし当然CGはたくさん使われてるけど違和感なかった
で、ドキュメンタリータッチっていうのも臨場感があって良かったねー
SFだからこそ生きてくる演出じゃないでしょーかね。
リアリティにこだわったっていうだけあってSFなのに冷めないで見れた。
元はSF苦手な自分にしたらこれって結構すごい。
なんかこういうこと起こるのかもしれないなーとか漠然と思わせる力があった。

難しいのだよ。説明がw
確かに面白かったのにうまく説明ができない。
これ、娯楽として楽しめるようになってることの方が不思議な気がするくらい、実際はすごく複雑で深い。
娯楽映画としての位置づけを頑なに守った監督の潔さには敬服するよね。
うん。サムライだな。好きだよこういう感じ。
逆に裏の顔がいい具合に浮き彫りになったんじゃないだろうかと思っちゃう。
やるなーこの人。


アクションシーンなんかも、無駄な派手さが排除されてて、自分は好きだったな。
ハリウッド映画だと行き過ぎた修正やデフォルメが鼻につくことが多いけど、そういうのが全然なく気持ちよく観られた。
ストーリーにしたってそうだよね。
ありがちな映画なら、液体を奪還するあたりからは主人公とクリストファーだっけかなエイリアン。
あの二人は完全に協力体制に入って且つ二人とも無事に助かってめでたしなところだよ。

そうしないところにリアリティの追求含む彼の信念を感じる。
ニールすげー。尊敬。


総評:☆☆☆☆
物語:☆☆☆☆
演出:☆☆☆☆☆
映像:☆☆☆☆
音楽:☆☆☆
役者:☆☆☆☆

<ジャンル>
SF

<お奨めの気分>
いろんなテーマが内包されているので、好きな時に好きに解釈して観ればいい