これは感想書くの難しい作品だなぁ。
自分本位になるかもしれないけど、率直なところを。
一応、ストーリーは入れないで視聴したんだけど、まぁイーストウッドが監督してるんだし、ただのスポ根モノで終わるとは思っていたなかったけど。
クリント・イーストウッド監督・主演、2005年アカデミー賞で作品賞やヒラリー・スワンクの主演女優賞ほか全4部門を受賞したヒューマンドラマ。古びれたボクシングジムを経営する老トレーナー・フランキーと、彼を慕う女ボクサー・マギーの痛切な人生を描く。 (詳細はこちら)
取り敢えずストーリーと関係ない部分の感想から。
まず音楽がすごくよかったなぁ
ああいうのなんていうのかわからないけどちょっと民族っぽい感じで
(何故か民族音楽が好きってのもあるんだけど)、ノスタルジックな風合いがあってこの作品の映像や物語にぴったりとはまっている感じがした。
それからヒラリー・スワンクの演技良かったわー。
彼女は元々スポーツ万能らしいんだけど、この役はかなり人を選ぶよね。
当然厳しいトレーニングも実際に積んだことだろうけど、努力だけではいかんともしがたい部分を感じるというか、土台が無いと無理だろう。
例えばこの役をナタリー・ポートマンにできるのかと思ったらやっぱちょっと無理だろうと思うし。
宗教的な背景とか色々とデリケートな問題を扱っているので、物議をかもしたのは言うまでもない。
講義も殺到したようだ。
問題を捨て置くことは出来ないだろうけど、それでも、私はこの作品が好きだな。
今までイースウッドが監督した映画で観た中では一番だった。
正直言うと今までイーストウッドっていうのはアメリカ人が喜びそうな映画をサービス精神とお金のために提供しているようなイメージを何故か持ってしまっていて、そのことに対して申し訳ない気持ちがしている。
彼の作品をそういう先入観を持って観てきた可能性が高いので、謝罪と敬意を込めてもう一度見直したいと思った。
ごめんちゃ。
孤独な老トレーナーのフランキー(イーストウッド)と貧乏ボクサーマギー(スワンク)のサクセスストーリーではない。
確かに途中まではそういう流れでもある。
ヒラリー演じるマギーは貧乏なだけでなく、彼女もまた孤独。
まぁ、あのクズみたいな家族と来たら、、、
特に母親。これが酷い。生きる価値なしのメス豚ですよ。
日本でもちょっと前に問題になったけど生活保護を不正に受けていて、金のことしか考えてない。
娘がボクサーとして成功を掴みかけ、家までプレゼントしてくれるのに、なんですかあの態度。
生涯に悔いだけを残してもう逝ってくれと思うわ。
そう思うと、いい味出してんだなぁw
あのおばちゃん。
ここまで不愉快にさせて頂きましたので、あっぱれでした。
途中まではそんな展開で、ボクサーとしては着実にステップアップしているのに、心の穴は埋まらないという成功とその影を描きながら進んでいくようにみえた。
ネタバレ↓
だけど話も中盤を越えたあたりで突然、方向性が変わる。
試合中に負った怪我で全身不随の体になってしまうマギー。
(つーか相手の反則だけどな、、あの相手ボクサーも昇天してくれ)
やりきれないよねぇ。
そして、絶望したマギーは誇りを持ったままで幕を引きたいと自ら命を絶つことを望むようになってしまう。
彼女を守りたいという思いと、彼女を救いたいという思いが全く折り合いのつかない矛盾を産み出し、苦しみ続けるフランキー。
そして宗教的な背景もフランキーを更に一層深い苦しみへと導いているようだ。
過去にもそういう映画は結構観てきたけどその度に、このテーマは自分には実感が得られないと感じている。
国が国ならばそういうのって当たり前の事ですんなりと入ってくるものなんだろうけど、どうにもピンとこない。
別に無宗教である自分を恥じるってなことは無いんだけど、その辺りの文化や思想の違いで、海外映画への深い理解と共感の機会を逃してるんだろうと思うとちょっと悔しい感じがする。
だったらもっと勉強しろってことだなw
はい。。。
この映画でもフランキーは熱心なカソリック教徒であるってのが大前提になってる。
尊厳死については取り敢えず宗教抜きにしても、思うところはある訳なんだけどその上に更に宗教的な思想が重なりあって苦しみもより深く複雑なモノになっているのだろう。
愛情って色々あるけど、家族愛的なものは言うまでもなく。
親子ほども歳は離れているのに、家族愛では収まりきらないもっと深い愛情が二人の間には芽生えているようだった。
それもそうか、だって、マギーの心の美しさは眩しすぎるもの。
ほんとに、キラキラしていてい痛いくらい。
物語の序盤でボスから怪我をしても決して泣いたりするなと言われるシーンがある。
彼女は最後の最後ギリギリまで健気に頑なにこの約束を守るのだ。
もう、泣いてくれって思うよね、大声で子供みたい泣き喚いたり、罵ったりしてくれた方がいっそありがたいと。
結局最後の最後になってやっとボスの前で一筋の涙を見せる。
まるで、自分は最後まで約束を守れたから、もういいでしょうと言わんばかりに。
ボスは彼女の人生が闇に落ちてしまう前に終わらせてあげたかったんだろうな。
だから彼女の中の光が完全に消えてしまう前に、これからどんどん大きくなる闇を彼女の代りに引き受ける事を選ぶんだ。
孤独で不器用な二人がたどり着いた、とても崇高な最後の愛の物語なんだと感じた。
愛がなきゃ、あんなことできるわけないじゃない。
総評:☆☆☆☆☆
物語:☆☆☆☆☆
演出:☆☆☆☆
映像:☆☆☆☆
音楽:☆☆☆☆☆
役者:☆☆☆☆☆
監督:クリント・イーストウッド
<ジャンル>
ラブロマンスと言うジャンルに一応入れましたけど、言葉としてはあんま適切じゃない気もしている。
もっと、大きくて崇高な愛の話かな。
<お奨めの気分>
辛いお話だけど、これは色んな人に観て欲しいなぁと思う作品で、このように究極の決断を迫られたとき、自分ならどうするのだろうかと。
そういう思いを映画の中であっても経験してみるのは、人としての幅を少しは広げてくれるものだろうと思ったするよ。