小泉今日子の演技が素晴らしい~
直木賞作家・角田光代の原作を小泉今日子主演で映画化したドラマ。“家族間で秘密は作らない”というルールを定め、一見幸せに暮らす京橋家。だが、夫の愛人が息子の家庭教師として一家の前に現われたことで、次第に互いの秘密が暴かれていく。 (詳細はこちら)
引き続きHuluです。
↑のあらすじちょっと読んだだけで背徳的な作品なのは想像がつきますね。
そういうのが苦手な人は見てはいけない。
若干のグロも含まれますよと。
まずもって、秘密を持たない家庭なんてのが無理があって最初から破綻してる印象をうけます。
家族揃った場所ではみんないい子ちゃんしてるけど、家族4人それぞれに悩みや秘密を抱えていて、最初から歯車が全く噛み合っていない状態なので、不気味さが漂っています。
映像もなかなか面白い感じでした。
音楽は邪魔にならない程度に適度にサポートしていて、悪くないです。
特筆は小泉今日子の演技ですね。
凄く良いです。
破壊神シヴァってのは破壊と再生の神様でしたよね?
それからもわかるように破壊と再生ってのは二つで1セットだろうと思うわけです。
何か一つ成し遂げようとしたり作り出そうとした時、失敗なしで最後まで行ける事ってそうはないですよね。
失敗するから身をもって(頭で学習するのと体験から得る学習は全然別物だと思います。なので身をもってってことが大事なのだと思うわけです。)学習するし、より強固な地盤を築くことができるわけで、最初から最後まで完璧を通そうとした時、その歪が現れるのが遅ければ遅いほど破壊のもたらすエネルギーも膨大なものになってしまう。
その先は、ね?
それでももう一度やり直そうって思えるかどうかでしょうから。
↓ネタバレ
お母さん(小泉今日子)の秘密は昔引きこもりで、不遇な少女時代を送ってきたことと、社会人になってその不遇の時代を隠蔽し、取り戻すかの如く自分が得られなかった絵に書いたような幸せな家庭を築くという事。
現に引きこもって高校には殆ど行っていなかったのに、生徒会長をしていたと家族に偽っている(彼女の母が存命なのだからバレない事に無理がある気がするがw)
それだけの為に、好きでもない男を自分を受け入れるであろう可能性が高いという理由だけで選ぶわけですよ。
相手や人ありきではなく、形ありきというのが彼女の目指す幸せになっていたのですね。
あらすじにもある通り父親の浮気相手が家庭に入り込んで来ることで、それぞれ抱えていた秘密が露見し始めるのですが、それでも途中までは見て見ぬふりでやり過ごそうと抵抗するんですね、けどいい加減それも限界になってしまってお母さんが壊れ始めるのです。
この壊れていく様の演技が非常にいいですねー。
母親に向かって「死ねば?」と凄む小泉さんは下手なホラーより怖くていいですw
母と家庭教師の為に用意したやけに大きな誕生日ケーキに山ほどロウソク立てて、全部に火を灯し、部屋の灯りを消して厳かにそのケーキを運ぶ小泉さん。
まじでヤバイですw
これから黒魔術でも始めるのかと思ってしまいました。
問題児のアイドルだった頃からは想像できない姿ですよ。
しかし、母と言うのは何があっても母なのですね。
娘に本気で「死ねば?」と言われても尚、彼女の誕生日に電話をしてきておめでとうって言ってあげるのです。
そして、本当に大事なことは墓場まで持っていくのだということを娘に教えてあげるのですね。
一見粗暴な不良ばばぁにしか見えませんが、ちゃんと娘を愛しているわけで、そうじゃないと思い込んでいたのは本人だけだったわけですね。
息子の方が意外と真理が見えていたのね。
思い込みが激しいと本当に大事なものを見失っちゃうよ、なんて生意気言ってたけど、実際彼の方がずっと大人だったわけで、ほんとは大人なはずの母親の方が幼稚で、まさに「大人なんてただの大きな子供だ」っていうセリフがぴったりハマる事になっちゃって。
切ない現実です。
最後に真っ白なケーキと真っ白なぬいぐるみ、そして真っ白な花(多分チューリップだと思う)が登場します。
破壊したから白を選べたのだよね、きっと。
総評:☆☆☆☆
物語:☆☆☆☆
演出:☆☆☆☆
映像:☆☆☆☆
音響:☆☆☆
役者:☆☆☆☆☆
<ジャンル>
家族です、そして尺が変われば人間関係です
<お奨め>
背徳的なのでそういうの苦手じゃない人だよね
後、ちょとだけグロもあるのでグロが嫌な人もダメだね
女優としての小泉京子が好きなら必見
この作品ではファミリーに焦点が絞られているけど根本は人間関係であるので、自分が理解されていないとか、不当な評価を受けているなんて感じてる時、そこから抜け出すヒントがあるかも