久しぶりに古典学習です。 長いので手が出なかったんだけど。
- 監督:D・W・グリフィス
- 紹介No:0005
- ページ:28~29
パブリックドメインなのでネットでも見られますね。
グリフィスの怒りのメッセージと言われているようです。
この作品の前年に「國民の創世」が発表されていますが、その際人種差別であると激しいバッシングを受けた経緯があり、それに対する反論であるという話もあるようですが、映画の検閲に対する反発も含まれているという事です。
そして、上映時のパンフレットには「アメリカにおける言論の自由の盛衰」というメッセージが記されました。
イントレランスとは即ち不寛容。
許さない事。受け入れない事。
人類は古来より不寛容によって過ちを繰り返し続けている。
題材はつまるところ恋愛、それも悲恋ですが、その中に政治的なメッセージや上述の反論を盛り込みつつ、概念として打ち立てる事で実現させているという感じでしょうか。
この作品は4つの物語から構成されていて、それぞれに時代を超えた愛の葛藤を描いています。
「キリストの生涯」
「古代バビロン」
「聖バルテルミーの虐殺」
「現代劇」
と、一見するとオムニバスかなと思いますが、実際はそれぞれの物語が切り替わりながらちょっとずつ進む、クロスカッティングのパラレル編集という技法が用いられた極めて斬新な撮り方だったわけですね。
※後に日本で公開された時は再編集され普通のオムニバスとして公開されたそうなw
それから俯瞰撮影。
今ならクレーンやらヘリやら、色々とやり方があるでしょうがどっちも無い時代。
大変だったでしょうなぁ。
今でも鉄パイプなどで作った足場の事をイントレって言うらしいんだけど、それってこの映画の中で俯瞰撮影する為にそういうのを作った事が由来なんだって。
凄いね。
そしてなんといってもバビロンのセットです。
実際に街一つ作る位の勢いですねw
そこに3000人のエキストラ。
※結果的には大赤字だったようです。
この壮大さが、後世に名を残す要因の大きな一つを担っている訳ですが、実はバビロン編は後付けですから、そもそも彼が最初に構想していたものの中には無かったという事ですよね。
イタリアのカビリアにインスパイアされたという話もありますが、どうなんでしょうか。
ですが、内容としては元は無かったものだったと受け止めるなら、やっぱり最初から存在していた現代編にちょっと注目をして観てみようかなという気持ちで拝見致しました。
と言っておきながら、とりあえずバビロン編に登場する山の娘がかなりファンキーでしたw
ちょっと気にいっちゃいました。
おてんばの枠を大幅に超越しています。
もはや乱暴者の域。
総合的には想像していたより感動しちゃいましたね。
昔も昔、ほぼ100年前の作品なのですから、そんなに直接的には楽しめるものではないだろうと思っていたのですが。
最初は正直ちょっと退屈に感じる部分もありましたが、ラストのフランス編、バビロン編、現代編の怒涛のクロスカッティングは緊迫感を演出していて、見入ってしまいました。
更にホントのラストに近づくと、現代編の中での嫁側と旦那側が、これまた怒涛の切り替えで、ハラハラしちゃいました。
冒頭に記載したとおり、基本的に悲恋を扱っていてるのですが現代編だけはラストに救いがあります。
そこに大きな意図と願いを感じますよね。
但し、可愛い娘は途中まで散々過ぎる人生ですが。。
グリフィスがいなければ、今の映画はもっとしょぼいものだったかもしれません。
勿論、他にも貢献者は多々いらっしゃるでしょうが、この方も間違いなくそのうちのお一人であると確実に実感出来るものでした。
どうもありがとうございます。
今、イケてる映画をたくさん観る事ができて嬉しいです。
と言いたい気持ちになりました。
監督:D・W・グリフィス
脚本:D・W・グリフィス
撮影:G・W・ビッツァー
撮影:カール・ブラウン
音楽:ジョセフ・カール・ブレイル
音楽:D・W・グリフィス
助監督:トッド・ブラウニング
出演:リリアン・ギッシュ
出演:ベッシー・ラヴ
出演:メエ・マーシュ
出演:コリーン・ムーア
出演:コンスタンス・タルマッジ
出演:モンテ・ブルー
次回は「カリガリ博士」です