ひと昔映画日記

素人の映画雑食日記 それこそ我が映画道

ブラック・スワン(2010)

なんとなくナタリー強化月間

なるほどねぇー
ふんふん

ナタリーは頑張ったなぁ。
役柄のせいもあって魅力的な部分はそがれちゃってたけど、ああいう繊細な役ってやっぱり人を選ぶだろうし、適役だったのだなと納得するだけの演技をしていると思った。
常に何かに怯えているような不安げで怪訝な表情が憎たらしい程リアル。
いかにも優等生な役柄で、いい子だけど女の子としてみるとちょっとつまらんなぁという感じがよく出ていたね。
見ていてウザいな、、、と感じる場面もあったので、狙い通り思わされましたかね。
実際のナタリーがどいう子なのかは実はあんまり知らないけど、今までの役柄のイメージからするとリアルも優等生よりキャラなのかしらと、だとすると公私共に脱皮ってとこか。


↓ネタバレ
えっと、サイコスリラーに分類されているみたいなんだけどね。
そういう観点で見るとちょっと薄い感じがした。

こういう感じのお話って結構前から日本でもドラマになったりアニメでもあったりしたし。
親からの期待や抑圧が大きすぎて子供ブッ壊れちゃうっていう。
すごく簡単に掻い摘んじゃうと主軸はそこにあったりする。
もちろん、付加要素は色々とあるんだけど。

なので、私的にはスリラーとして楽しむ感じではなかった、実際怖さあんまり感じなかった。
だけど、フロイトっぽい観点から掘り下げて観ると興味深い。


本当に潜在的な無意識の中の意識として、母親に支配されていることに苦しんでいる自分がいて、たけどそれって彼女にとっては生まれた時からずっとなことなので、苦しんでしまう自分の方がおかしいのだろうかという葛藤もあったことだろう。
逆に母親の方は娘を苦しめたくてしていることではなく、ああいう表現しかできない人なわけだ。

娘に面と向かって(冗談ではなく)「私はあなたのせいで夢を諦めたのよ」だって。
なんてことを・・・
ぶっちゃけ胸くそ悪い。(狙い通りなんだろうけどw)
ここのシーンとケーキを捨てようとするシーンが一番この親子の本質というか問題である部分を露骨に浮き彫りにしている。

母からは優等生であることを渇望され、バレエの現場では自分の欲望を解放することを求められる。
完全に板挟みになってしまい情緒不安定どころか幻覚が現れるほどになる。


バランスって大事なんだなぁと改めて実感するわけ。

全く邪念が無い人間なんて多分居ないんじゃないかな?と思ったとき。
完璧に潔白であろうとする、あることを母親から要求され続けるその状態の方が常軌を逸していると思っちゃうし、彼女の場合は仕事であるバレエで真逆のことを要求されたことが結果的には良かったんじゃないかと思える。

一度は極限にまで、二つの自分がぶつかり合ってしまうけどそうやってもう一人の自分と対峙することによって、一人の自分に統合された訳だから。
それと同時にきっと母親の呪縛からも開放されたのだろうなぁというのが伺える。

あの後、彼女がどうなったのかはわからないけど、もし命をとりとめたのであればきっと母親とも良い関係を築けるようになっていることだろうね。

せっかく乗り越えたわけだからそうであってほしいなと思う。
乗りり越えられなくて苦しんでいる人もいるのだろうから。


そして、ダーレン・アロノフスキーといえば今敏監督へのオマージュが話題になりましたが、
やっぱり映像面に関しては色濃く出ている感じが致しました。

今回は白鳥と黒鳥という対比をニナ(ナタリー)が白、彼女のライバルのリリー(時に内なる自身)が黒というイメージで衣装を含めて(かなりはっきりと)カラーが強調されていたりリアルとインナーワールドの境界が曖昧に表現されていたりするところなんかは彷彿させます。

映像は好きだったな。
なんていうのかな、綺麗過ぎない感じがイイ。ナタリーの足が写った時アザが見えたりしてたけどああいうのわざとなのかな、ナチュラルなのかなぁなんて。
そういうのを憶測するのも楽しみの一つなり。

音楽も良かった。


後、ウィノナが役と現実がちょっとかぶってきてるっぽい感じで哀愁。
リアル世代交代的なものを垣間見たわ。


結果これはどう見るかによって楽しめ方がかなり変わる映画かなぁという印象。
ただ、どうであれナタリーの演技は迫真であったし、そこは純粋にいい仕事してたってことで問題なしと思いました。


総評:☆☆☆☆
物語:☆☆☆
演出:☆☆☆☆
映像:☆☆☆☆
音楽:☆☆☆☆
役者:☆☆☆☆☆

<ジャンル>
サイコスリラーらしいけど、自分は心理モノ(そいうのなんかジャンルあるのかわからないけど)としての方がしっくりくる


<お奨めの気分>
前述の通りどう見るかだと思うが、少なくてもスリラーが観たい時には自分は選ばない。
ちょっとフロイトっぽいの観たい時かな