何年か前にソフィアの映画を全部制覇するとか思っていたのに結局観れていなかったので今更だけど、改めて視聴。
監督2作品目、ぼやぼやしてるうちにもう10年以上前の作品になってしまったよ。
『ヴァージン・スーサイズ』で監督デビューを果たしたソフィア・コッポラ監督が、無国籍都市として変貌を繰り返す街“トーキョー”を舞台に、異国の地で孤独や疎外感を抱くふたりの男女が出会い、心を通わせていく姿を描く。アカデミー賞脚本賞受賞作。 (詳細はこちら)
うむむ、これは、賛否分かれる作品だろうなぁ。
なんせ、アメリカで作られた日本(ほぼ東京)を舞台にした作品ですから。
一時的に日本に来たアメリカ人(日本語わからない)が不安や疎外感を感じながら過ごすという部分が重要な要素になっているので、日本語の部分はアメリカでは意図的に字幕なし。
つまり、何いってんのかわからん、、、というところに意味を持たせてるわけですから、それが丸わかりの我々にとって、わからない人達と同じ感覚で視聴するのは相当難易度が高いw
加えて、ソフィアの日本に対する認識や、アジア人に対する差別意識などが取り沙汰され気味ですし、半当事者の我々にとってそこを除外して、よその国の人達と同じ感覚で視聴するというわけにはいかなくなる部分が大きい。
日本人が観たら気分を害しそうな場面は確かにありますので、観る人を選ぶ作品ではありましょう。
斯く言うわたしはOKでした。
一つにはもう10年以上経っている状態での初視聴となってしまったので、今はまた違うでしょうよ、という客観的な立場で見られた事。
もう一つは、映画の中の日本がソフィアの思う日本の姿と全く同じというわけでは無いだろうと思ったし(勿論一部ではあるんだろうけど)、それでいて、あのような描写が作品の為に必要だった。
日本人なら瑣末な事だと流してくれると思ってもらえたんじゃないかという、超プラス思考w
そりゃ映画だからデフォルメしたり、偏ったりはあるだろう、けど映画ってそういうもんでしょ。
日本だってよその国を扱うとき同じような事してきてるだろうし、お互い様じゃないか。
(この映画がドキュメンタリーとかノンフィクションのジャンルだっていうなら、流石にちょっと待てよ!ってなりますけどね)
実際、マシュー南やダイヤモンドユカイは、辟易するほどウザイのでこの作品に対してはいい仕事したってことじゃないか。
音楽と絵はやっぱいいんだよねー。
音楽はほんとに浸みる。食い込んでくる。
うるさい感じは全くないのにね。使い方がやっぱりうまいんだと思う。
そんな感じで、リアルタイムいいなぁと思わされちゃうね。
映像に関しても彼女独特の様式美みたいなものを感じます。
汚いように見えて実はとても美しいような、派手さはないけどジーンとくるような、なんとも不思議な感じなんですけど、これがハマっちゃうんだね。好きです。
なんかの心理療法かって感じくらいにw
東京の街はそんな彼女の様式美を発揮するのにおあつらえ向きという感じがしました。
この作品の舞台として東京を選んだこと自体も彼女のセンスの良さが光っていると思います。
東京以外では南禅寺や平安神宮を散策するシーンがありますが、必要以上に雅に表現されていないところが好きだった。
それでもちゃんと美しさは伝わります。ああいう感じがいいです。
案外、侘寂に通じるようなものがあり、しっくりくる気がします。
脚本はソフィアが自分で書いてます。
アカデミーで脚本賞とってますね。
主演はビル・マーレイとスカーレット・ヨハンソン。
スカーレットはこういうナチュラルな感じの方が良さが出てる感じがしました。
派手なのも似合うといえば似合うんだけど。
ビルも終わってる感じがよく出ていてまあまあ。
さて、本題行きますー。
年齢にかなり差がある二人ですが、どちらも結婚生活に不安や焦燥を抱え、パートナーにはあまり相手にされていない(少なくても本人達はそう感じている)状態で、半不可抗力的に東京に滞在しているわけですね。
ノリノリでやってきたのとは違うので、時間ができてもやりたいと思うこともあまりなく、言葉も通じない東京で、余計に孤独が募っていくわけです。
そんな孤独感を偶々同じホテルに滞在していた二人が似た者が惹かれあうように自然と少しずつ共有していく。
この、「少しずつ感」がすごくソフィアっぽいっ感じ。
恋愛に近い感情が芽生え始めていくのだけど、
男女として惹かれあっているのか?
友人として惹かれあっているのか?
同じような境遇に置かれた者同士、同情し合っているのか?
見ようによっては親子のようにも思えるし、鏡越しの自分自身のような気もする。
とても繊細で とても淡い関係。
そもそもがフィクションのはずなんだけど、観ていると「映画だったらここで勢いに任せて突っ走ったりするんだろうな」なんて思っちゃうんだよねw
いやいや、今見てるこれもフィクションなんだけどさ。っていうくらい、二人の関係に関しては、リアルな印象を受けたってことだね。
ラストは秀逸だと思いました。
切ないのに、同時に同じくらい爽やかという。
複雑だけど心地よい感覚に陥りました。
孤独を分かち合えたことで、心の荷物は軽くなったでしょうか?
だったらいいなと思います。
不貞に近い、というか見る人によっていは不貞だろって人もいるかも知れないけど、でも、二人を責める気持ちにはなれなかった。
だってね。
これで前に進めると思うから、許してあげてください。。。
話の本質としては結構好きな作品ではありましたが、日本人としては満点はあげちゃいけないというか、別にいいっちゃいいんだけどさ、でも、一つ貸しだからね。
みたいな気持ちはありますよね。やっぱ。
(今度、日本をいい感じに表現した作品1つ作ってくれないか)
というわけでちょっと減点。
総評:☆☆☆☆
物語:☆☆☆
演出:☆☆☆☆
映像:☆☆☆☆
音楽:☆☆☆☆
役者:☆☆☆☆
<ジャンル>
ドラマ
(ロマンスを入れるかどうか個人的にすごく迷う作品ですね。。)
<オススメ>
大人の女性に観て欲しいかな
(且つ、やりすぎ面を笑って流せる人)