タスマニア・デビルってのはよく聞くけどね、タスマニア・タイガーは実は初耳。
1930年代に絶滅したとされる、日本名フクロオオカミという大型肉食獣。
狼だけど有袋類なのでそういう名前なのね
そのタスマニアタイガーが実はまだ絶滅していなくて、あるバイオ企業がそのDNAを所望していると。
そこで、凄腕ハンターであるマーティン(ウィレム・デフォー)が捕獲の為にタスマニア島に向かうことに。
その先でベースキャンプの代わりに間借りすることになった民家の住人との触れ合いを通して変わっていく価値観や人生観を描いた、ドラマだな。
サスペンス要素も、アドベンチャー要素もあるけど、マーティンの心理描写の部分が一番メイン。
タスマニアの大自然の風景は少し寒々しいが、とても美しい。
全体を通して暗い雰囲気の作品だけど、結構味があって私は嫌いじゃなかったな。
↓ネタバレ
孤高のハンターっていうくらいだからね。
人との関わりを極力避けてきた、孤独な雰囲気が漂っている。
しかも几帳面で神経質ってのも十分すぎるくらいに伝わってくる。
最初は現地の家族に対しても、おいおいってくらい冷たい。
子供相手にそんな態度、いけませんよーって感じよ。
んだけど、人懐っこい子供たちに根負けしたのかちょっとずつ心を開いていく。
次第に自分が請け負った仕事についても疑問を抱き始めるようになるんだね。
ホントのことかどうかは無知なので知らないんだけど、タスマニアタイガーには 特殊な生体機能があって入手したDNAを基にして、生物兵器を開発しようとしてるわけ。
仕事を請け負った時は、他人にも世間にも全く興味が無かった彼にとってはそのDNAがその後どんな風に活用されるのかなんて、どうでもいいことだったのだろう。
だけど、現地の家族と触れ合ううちに人との関わりや世間、子供たちの未来、いろんなことに関心と好意を抱くようになってくる。
遂にはこんな仕事を請け負って良かったのだろうかと自問自答するようになり、仕事の方もちょっと手抜き気味になるw
そして、現地家族の子供を連れてピクニックに行く計画を立てる。
だけど、そのことをよく思わない輩が雇い主に彼の現状を報告してしまう。
もし、あの電話がなく、あのままピクニックに出かけていたらどうなっていたのだろうか。
でも、現実は過酷だった。
母と娘は亡くなり、残された少年は施設へ。
やりきんないわ、、、。
彼はきっと少年と共に生きていくんだろうな。
人って面倒だとか、ストレスが溜まるとか、そんなこともきっと感じるだろうけど、補って余りあるプラスの感情をあの少年がもたらしてくれることだろう。
少年もまた、全てを失った絶望の中に希望の光を見たのだろうと思いたいわ。
お金の為だけに目的を遂行するハズだったのにね。
そうして、最後のタスマニアタイガーを手にかけるマーティン。
それはバイオ企業にDNAを届けるためではなく、もう二度と手に入れる事ができないようにするために。
タスマニアタイガーはただ生きているだけなのに、それを利用しようとする人間が存在するばかりに。
悲しき運命。
でもさぁ、最後のタイガーはマーティンを待っていたように見えたよね。
なんだか、お前の手で仕留めてくれと言っているように思えた。
野生の動物というのはみな往生際を心得ているかのようだ。
いや、往生際が悪い生物なんてこの世に人間くらいしか存在しないのかもしれん。
総評:★★★
物語:★★★★
演出:★★★
映像:★★★★
音楽:★★★
役者:★★★
<ジャンル>
アドベンチャーサスペンス風ドラマ
<お奨めの気分>
ちょっとダークで寂しげだけど、人との関わりについて考えてみたいとき